AIPセンターシンポジウム 兼 成果報告会(2017年度)を聴講してきた

AIPのシンポジウムに参加してきた。日本のヒーロー大集合という感じでとても心が躍った。一般に開かれたシンポジウムだったので公開しても大丈夫だろうと判断し、忘れないうちに思ったことなどメモしておく。
社会実装,倫理から基礎数理まで:革新知能研究の最先端 | Center for Advanced Intelligence Project

追記:この記事の編集途中で引っ越しイベントのごたごたがあり、とってあったメモを紛失してしまった。とりあえず途中まで書けていた金出先生の講演についてだけ載せておく。

金出武雄先生の講演

金出先生からは「今後こういう研究が重要だろう」という展望についてのお話があった。
特に強調されていたのが、「良い研究は現実に起きている問題に取り組む中で生まれる」ということだった。
人工知能研究の冬の時代は、現実の問題を人工的につくられた解ける問題に落とし込み過ぎていることが一因だとも仰ってた。問題を解くための研究ではなく、研究業績を出すために問題を用意してるのがいけない、という意味だと受け取った。

「現実に起きている問題に取り組む中で生まれる良い研究」とはどんなものだろうか?金出先生からいくつか紹介があった。曰く、
製品検査、システムの異常検知
・負例が少数で学習が難しく、学習データにない新しい負例が出てくる可能性もある
・センサデータから始まる一貫した研究が必要
・ある製品について検査できるシステムが生まれれば、他の検査システムにも広く応用できる可能性がある
自分の決定を説明できるAI
・内省し、ユーザにわかる形で説明する
会議に参加貢献できるAIシステム
・問題と知識をどう表現するかはAIの根本的な問題
・本当に人のように有能なシステムの実現にはフレーム問題と記号接地問題が現れる
・会議では色々な話題が飛び交うので、データセットの世界に閉じていないAIが必要

どれもなるほど、と思わせられた。現実の問題の中でも、根本的なボトルネックとなっている部分は他の問題でも共通していることが多いから、これを解決できると色々応用が利くので十分なインパクトがある。例えば、機械学習では「学習するためのデータがない、DNNはブラックボックスなどで説明性に欠ける」などが根本的な問題として挙げられる。これらを解決するための学習理論を構築したりするのが肝要だとのことだ。各チームによるポスターセッションでは、確かにどのチームもこういった根本的な問題を研究のモチベーションにしているようだった。

感想

自分が取り組んでいる問題は現実に起きている問題設定からは少し離れているので私は大変恐縮してしまった。が、改めて考えるとあまりに広く知られている根本的な問題を攻めて世界中の才能とのパイの奪い合いに遅れて参加するのはどうなんだろう?、と思ってしまいイマイチ賛同はできなかった。
取り組むべき問題をきちんと吟味するのが大事というのは完全に賛同できる。個人的には汎用的に応用できる研究も大事だと思うが、多少タスクに依存した問題でも、それが解決することでブレークスルーに貢献するような仕事をしたいなぁと思った。
自分の問題で本当に本質的な問題はどこにあるのかを見直す良いきっかけになったと思う。ちょうど目をつけているところがまさにそうだと思うので、このまま走っていきたい。