関西合同音声ゼミ(2019.12.07)@立命館大学OIC

昨日関西合同音声ゼミに行ってきたので感想などを残しておく。

招待講演:コミック工学

まず、招待講演の立命館大山西先生のコミック工学研究の紹介が面白かった。技術が先にあって課題を探す技術指向、課題が先にあって課題を解決するために技術を開発する課題指向という従来研究スタイルに対して、これらを止揚した感じのコンテンツ指向という話をされていた。

コンテンツ指向は、既存の技術から「こんなのできそう」を考えたり、「こんなのあったらいいよね」からどのような課題が必要かを考える研究スタイルとのことだった。私はissueから始めなければ、という意識が最近強かったのだけど、やっぱ考え過ぎだよなあと考えを改めるきっかけになった。

issueから始めるのが重要なのは、工学をしてるつもりで全く役に立たないものを作ってしまうのではという懸念があったからだが、役に立ちたい対象となる人が研究のループに入っているかどうかが重要なポイントだと思った。

コミック工学研究会では漫画家さんなどプロの実務家が参加していて、コンテンツの担い手に直にフィードバックをもらい、この技術はどこでなら役立ちそうか、新たな課題はありそうかなどを建設的に議論してすぐに軌道修正できるしくみづくりがされているとのことで、なるほどそこすごい大事だなと思った。

思えば私の所属している研究室でも、ここで言うようなコンテンツ指向を重要視した指導をされているが、適切な課題の設定を行うのが難しいなと常々感じている。ここは研究者としての腕によるところがあるが、対象とする人がはっきりしているなら、実際に会って課題を切り取っていくことを視野にいれてないとなぁと反省した。

研究紹介の中身もbig pictureと要素技術がはっきり示されていて非常に分かりやすかった。次々に研究になる課題の例が紹介されてくのもすごくて、思わぬ発想もあったりで発想の引き出しの多さに感心させられた。

ポスター発表

ポスター発表に関しては、今回対話関係の発表件数が多かったので、ポスターは対話を中心に見て回っただけで時間が尽きてしまった。(皆熱が入っているのは良さだが、いったん5分くらいにまとめててもらえるとありがたい・・・)

ざっくり総括すると、グラフ系の話、人間っぽい対話振る舞いに関する研究の話、他にも雑談応答モデルの多様性向上の話とか対話における話者認識・匿名化とか、個人性を扱った話などがあった。

知識グラフの二値化CP分解の話は初めて聞いたので面白かった。不勉強ながらHinton’s Straight Through Estimatorを知らなかったので勉強になった。2値化してもある程度ちゃんと動いてるのがすごい。局所解には落ちないんだろうか?落ち着いたらちょっと勉強してみたい。 ググったら今年の言語処理学会の予稿を見つけた:https://www.anlp.jp/proceedings/annual_meeting/2019/pdf_dir/P8-4.pdf

雑談応答の多様性向上の話は工夫が面白かったが、その工夫が本当に効いているのか結果からは良く分からなかったので、比較した結果や詳細な分析が見たかった。他の手法も色々あるので比較した結果も見てみたい。

懇親会

弊研からの参加者僕と後輩氏の2人だけでワロタ。(もっとコミュニケーションしようぜ・・・)どの研究室もそうだけど、島でまとまるの良くないと思うんですよね・・・なんかうまい仕掛けが欲しい。今回私は京大島をフラフラしながら山西先生に話かけたりしてました。コミック工学研究会は私のモチベーションにもマッチしそうなので、参加できないかボスらと相談したいところ。自分が何をやってるのか見せようと自分のデモを見せたのだが、デモが動かなかったのには冷や汗をかいた・・・(後で確認したらcudaがエラーを吐いていた。勘弁してほしい・・・)

河原研の学生氏と話していて、河原研はどうやって対話の問題設定を洗練させてくのか聞いてみたら、河原研には社会心理学に精通した博士研究員の方がいてコメントもらえたりするらしい。そういうの良いですね。個人的にはやっぱ人間同士、人間対機械のインタラクションに興味があるので、自分で勉強するだけでなく、そういうのに精通している方に実際に会いに行って話を伺いに行くとかするアクションも、自分の研究を洗練させていく上で重要だなあと思った。